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青葉繁れる (文春文庫)
井上 ひさし
定価: ¥ 440
販売価格:
人気ランキング: 271047位
おすすめ度:

発売日: 1974-01
発売元: 文芸春秋
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心の底から「笑える」
背景などからみて、時は昭和30年代だろうか?
新制の仙台の男子高校生の5人グループが、騒動の数々を巻き起こす。
この高校は、名門校らしいが、グループの成績は、全員下から数えた方が早い。
稔を筆頭に、グループの行動は、いかにもボンクラ高校生らしい。
東京からの転校生の俊介が、格好は付けているが、色々とボロが出る。
物語には「笑い」がぎっしりと詰まっている。
その笑いとは、直接的な意味のものから、深い意味のものまで多彩だ。
とにかく本書には、吹き出しそうになる場面が度々あり、電車の中などで読むには要注意だ。
幕切れ部分の校長の行動には、ちょっとしんみりとさせられる。
高校生らしい喜怒哀楽がぎっしりと詰まっている本書。
心の底から、笑わずには、いられない。
高校時代に戻りたい!
これを読んでると、もう一回高校時代に戻りたくなってしまいました。聞き慣れないけどなんとも愛着のわく方言を話す個性的で元気な5人の少年達に、自分の高校生のときのクラスの男の子たちを思い出して、かぶらせてしまいました。女の子のことばっかり考えて、全然まじめに勉強していない稔くんたちは、将来立派なエリートコースをたどることはないにしてもそれぞれ愉快でたくましい大人になっているんだろうな、と、彼らの親のような気持ちになってしまいました(^^;)校長のチョロ松先生も生徒のことを心から信頼し、愛しているのがとっても伝わってきて、すごくあったかい気持ちになれる作品でした。毎日を元気いっぱいに生きてるからこそ起こり得る笑いにも好感持てました。
『熟慮断行』で行こう!
今回読み返してみて、岡本喜八監督、豪華キャストによる、快作といっていい映画版(昭和49年9月公開。この封切りに合わせての文庫化だったようだ)が、この原作にほぼ忠実な映画化だったことに、アッと驚いた(『熟慮断行』を座右の銘とするチョロ松校長を演じていたのは、ハナ肇だった…)のだが、それも当然かと思えるほど、きわめて映画的な印象を受ける部分が多くあり、映画化のためのアレンジなど、ほとんど必要ないほどの巧みなストーリーテリングに舌をまく、傑作青春小説だ。
出だしからしばらくは「もっと他に考えること、あるんじゃないか!」と言われそうな(苦笑)、まぁ《それ》しか頭にないと言っていい、バンカラというよりむしろボンクラな青春群像が描かれており、オレの脳裏には『グローイング・アップ』か『ポーキーズ』、などといったあたりが浮かんだりもしたわけだが(いや、どうも…)、これが何故か、いくつかの部分では『いまを生きる』などの感動作のイメージも連想されたりして、読み手の立場からみてその辺、なかなか手強く、それでいてうれしくも思えるのであった。
仙台弁のおかしさと暖かみも、この作品の味わいを深めるのに大きく貢献していると思う。言葉に限らず、作者のこの物語の舞台へのアンビバレンツな愛情が、あちらこちらに見え隠れしているところが、またよいのだ。
一見カタいようにみえて軽妙洒脱な文体、権威とされるものへの鋭いカリカチュアぶりは、むしろいま読むことで、より新鮮に感じられるのかもしれない。
『熟慮断行』……、いい言葉です。